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しーみあ

Author:しーみあ
19XX年生まれ。
「若い」というカテゴリには分類されなくなってきたお年頃。

好きなもの:

 酒 美味しい食事 漫画 小説 映画 60s~90s洋楽  RPG 

かなりの漫画好き。主に青年誌中心に読み漁っていたけれど、最近プラトニックな少女マンガにハマる。回帰願望か?!

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 篠津木綾香。
 彼女とは、そう、俺がまだ日本に来たばかりの頃、知り合った。

 『敦賀蓮』としての生活をスタートさせたばかりの頃。
 彼女は確か俺より4,5歳年上で、日本人離れした外見をしたハーフのモデルだった。日本人ばかりの中で目立っていた外見。日本語は、日本人とまったく同じレベルだったが、その日本人離れした外見のせいか、周囲からは浮いていた。そんな姿が、アメリカにいた頃の自分と重なって、親近感が湧いた。『敦賀蓮』になったばかりで、クオンが抜けきれていなかったともいえるが、当時の俺はさほど考えず、彼女の誘いに「のっていた」。
 彼女から別れを切り出されたのは、彼女がアメリカでの仕事を獲得したからだった。特に揉めることもなく、お互い「じゃあね」という感じであっさりとしたものだったと思う。

 
 「社さん、こちら、篠津木さん。昔の知り合いです。」
 「あら、もうアヤカって呼んでくれないのねー。悲しいわ」

 俺の、意志をこめた苗字での紹介に、揶揄するようにニヤリと反応する彼女。
 そんな一瞬のやりとりで、彼女は俺にとって招かざる客であることを悟った社さんは、やはり頼りになる存在だ。さっきのホロ酔いはスっと消えうせ、マネージャーの顔になった。
 「えーと。初めまして。蓮のマネージャーの社と申します。・・・ところで、どうやってここを?事務所の人間が、そう簡単に外部の人間に、俳優の居所を喋るとは思えないので」
 「ふふ、蓮が今度出演するハリウッド映画の製作会社の人間で、打ち合わせに遅れたけれど合流したいって言ったら、アッサリ教えてくれたわ。ガイジンっぽい容姿でよかったわー」
 「・・・・(なんてお粗末なんだウチのセキュリティは!)」

 「蓮、こんな所で立ち話もなんだし、どこか案内してくれないかしら。貴方のお部屋でもいいわよ」

 「な、何を言って「申し訳ないけど」

 イキナリの積極的な発言に、うろたえた社さんを遮って。
 俺は笑みを絶えることはなく、続けた。

 「篠津木さんに久しぶりに会えたのは、すごく嬉しいけれど、あいにく明日の仕事が早くて。待っててもらったようで申し訳なかったけれど、改めて明日の日中にでもどうかな。事務所に遊びに来てくれれば、こちらのモデル部門の人間も紹介できるし。さあ、もう夜も遅いのでホテルまで送るよ。いいよね社さん?」

 暗に、「プライベート(夜)は会わない」「会うとしたらオフィシャルで」「今から二人きりになることはない」をしっかり含ませた。
 社さんも意図を汲み取ったようで「そうそう、女性がこんな時間に外にいるのは物騒ですよ、明日改めて!」と同調してくれた。

 「アハハハハ・・・・ずいぶん警戒されてるわねえ、私」
 
 彼女にも、こちらの意志が伝わったのか。

 「誤解しないで。いまさらヨリを戻そうとか、昔のセキニンとってとか、そんなこと言うつもりもないわ。でも・・・・・そうねえ、ちょっとした、お礼、は、させてもらったことを報告しに来た、それだけよ」

 意味ありげな彼女の言葉が引っかかった。
 彼女は、艶のある、成熟した大人の女の風情を出しながら、しかしいたずらっ子のように、笑ってみせた。

 「京子さんにね、挨拶したわ」
 
 「「な!」」
 
 社さんも目を剥いている。

 「あら、安心して。何にもしてないわよ。ほんと、ただ挨拶しただけ。そうね、『先輩からの忠告』みたいな他愛もないことよ。わざわざ日本に来て、京子さんにだけ会って貴方に会わないのも余計おかしいから、こうして来たってだけよ。・・・・・そう警戒されてるようじゃ、明日出直すしかなさそうねえ。送ってもらわなくてもいいわホテルは近いから。じゃあ明日事務所でね」

 「待って」

 横をすり抜けて行こうとする彼女を、敢えて呼び止めたのは、何か胸騒ぎがしたからだった。
 最上さんに・・・キョーコに関することでは、俺の第六感は特に冴える。

 「さっき言った、『お礼』って、何かな」

 真っ直ぐ、かつての・・・・そう、当時はそれが恋だと誤認していた、その相手の目を見据える。

 彼女は聡い人だった。やはり、俺の視線の意味に気づいた。
 ゆっくりと、過去を懐かしむような表情で、答えた。

 
 「・・・・・貴方は、ずいぶん変わったのね、蓮。それはきっと、京子さんに会ったからなのね。・・・・・ふふ、それが悔しいわ。貴方は私と付き合っていたときも、私を見てはいなかった。私が別れようと切り出したときも、ずいぶんアッサリしたものだったわね・・・・。蓮、それってね、オンナンコにとってはすごく傷つくものなのよ?」
 
 「・・・・そうだったろうね。ごめん。今の俺にはそれしか言えない」
 
 「ねえ、蓮。もし京子さんが、当時の私と同じように、別れようと言ったらどうする?私のときのように、アッサリと別れられるかしら?」
 
 「無理だろうね。というか、そんなことは言わせないかな」
 
 (この男、コワイ)
 二人の只ならぬ関係を見守る社。そして独占欲丸出しの蓮の発言に改めて戦慄する。

 「本当に変わったわね、蓮。他人にそんなに執着するなんて。・・・・・・そうね、お礼っていうのは、当時の傷ついたオンナゴコロに対するささやかな仕返しってところかしらね。・・・・・やだ、そんな怖い顔しないでよ。彼女に暴力振るったわけでもないんだから。ま、彼女から直接聞くことね」

 じゃあね、と言って、彼女は歩きだした。

 硬い表情のまま、彼女の後ろ姿を見つめる蓮。

 「あ、そうそう」

 20メートルほど進んだところで、ふと歩みをとめて振り返る彼女。

 「蓮、きちんと『分かり合う』ことって、大事よー。恋愛に臆病な敦賀蓮、いいもの見せてもらったわ」

 

 彼女の最後の台詞、俺は、それを痛いほど噛み締めることになる。
 
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